技術習得はYouTubeも駆使。異業種から転向したハウスクリーニング職人

超行動派スタイルで技術習得したハウスクリーニング職人

アパレル業界から未経験でハウスクリーニングの世界に飛び込んだ中村正純さん。もともと母親が携わっていた仕事を中村さんが手伝いを始めたのが、株式会社H&Mホームズ(東京都葛飾区)の始まり。

ハウスクリーニングはズブの素人だった中村さんの技術習得スタイルは超行動派。現代的にYouTubeを見て家の壁で実践してみたり、職人に直接聞きに行くなどを繰り返して習得していったという。

そうして身に付けた技術はクライアントからも信頼され、現在はハウスクリーニング業だけでなく、不動産の退去立会代行業務も一括で引き請けるという勝ちパターンも確立。

そんな中村さんに技術習得の工夫やハウスクリーニングの魅力など、いろいろと聞かせてもらった。

ど素人からハウスクリーニング屋に転向

中村 正純(なかむら・まさずみ)/株式会社H&Mホームズ/ハウスクリーニング、原状回復工事
中村 正純(なかむら・まさずみ)/株式会社H&Mホームズ/ハウスクリーニング、原状回復工事

–H&Mホームズのお仕事は?

中村正純(以下、中村) 立ち上げた時は、ハウスクリーニングのみで始めました。もともとは私の母親が一人で、とある親方さんからハウスクリーニングの仕事をもらって数年仕事していたんですね。

私はまったく別の職種の仕事に就いていたのですが、そこを退職して自分のお店を持ちたいという目標があり、その資金を貯めるために一緒に仕事をするようになったのが会社の始まりです。

当初は一人の親方さんから仕事をもらっていただけだったので、もう少し仕事量が必要になり、元請けさんを増やしていったのですが、そうした中で元請けさんから「あれできないの?これできないの?」と要望をもらうことが多かったので、賃貸住宅の退去立会代行業務や原状回復工事も請けるようになっていきました。

ほかにも、依頼があれば店舗や住宅の塗装、内装・外装の改修工事なども請けています。仕事の件数の割合で言えばほぼ9割超はハウスクリーニングや原状回復工事ですが、売上でいうと単価の高い改修工事と半々ぐらいになってますね。

–退去立会代行とはどのようなお仕事なのですか?

中村 賃貸住宅で引っ越しがある場合にその住居へ行って、室内状況の確認し、次の引き渡しまでにやらなければいけないハウスクリーニング作業や工事内容を精査、確定させる仕事です。

そこで発生する作業等が入居者の過失によるものであれば、その費用を確定させたり、施工を伴うけども入居者に請求できない改修で、次に貸し出す前に直しておかなければいけない箇所を判断したりするような業務です。

–なぜ退去立会代行業を始めることに?

中村 もともとは一手に退去立会代行をやっている会社さんとお付き合いがあって、そこからハウスクリーニングや原状回復工事のお仕事をいただくことが多かったんです。しかし、そこがある日唐突にその業務を辞めると言い始めたんですね。

弊社としてもいきなり仕事に穴が開くと困るので、その会社に退去立会代行を依頼していた管理会社さんに、お仕事させてもらえないかとお願いしたところ、「退去立会代行からやってもらえるならお願いしたい」と。それで始めました。

ネットとリアルを駆使した現代的な仕事習得術

職人の技術を身に付けた方法を語るハウスクリーニングの株式会社H&Mホームズ代表・中村正純さん

–中村さん自身の仕事は?

中村 私は管理業務や退去立会代行業務などに当たっている感じです。応援の要請があれば、私も多能工として技術は身に付けていますので、作業にあたることもあります。

会社は現在4名体制です。母親は経理などをやってもらっていて、義理の兄がハウスクリーニング・原状回復工事を行う多能工職人として動いています。自社で軽微な大工工事なども対応できますね。

–施工技術はどのように学んだのですか?

中村 事前現調などに行くと、内装屋さんや塗装屋さん、クロス屋さんなどの職人がいるので、最初は現場でやり方を教えてもらったりしていました。

あとはネットなどを活用して、それぞれのやり方を学んで練習したりもしてましたね。自分で勉強してもわからない部分もあるので、そこはまた職人さんを見付けては、質問して教えてもらうという反復です。

たとえばクロスなら、教えてもらったことを家の壁紙を剥がして実践してみたりもしてましたよ。ほかにも風呂場のコーキングを剥がしてやり直してみたりなどもしていましたね。

実地経験しないとやっぱり理解も深まらないし、かと言ってお客様の物件で練習するわけにもいかないですからね(笑)。そこでトライ&エラーを繰り返しながら、身に付けていきました。

やっぱり、技術を人に教えたりすることを好まない職人さんもいますからね。こっちの事情を説明すると親切に「じゃあ教えてやるよ」と言ってくれた人もいれば、「そうなんだ、でも邪魔だからどっか行ってくれる」と拒まれることもありました。

また、できない部分を専門業者さんに依頼して、その様子を見て覚えるということもしてましたね。その場合、こちらは発注側になるので、管理という名目でいくらでも見ていられますから(笑)。

施工の「質」を大切にして「信頼」を獲得

–どのような形で仕事を請けることが多い?

中村 不動産管理会社や退去立会代行会社さんからが多いですね。

–御社の強みはどこ?

中村 ウチの場合、退去立会代行からハウスクリーニング・原状回復工事までを一括でできるところです。まず、発注者にとっては、退去立会代行会社から施工業者に依頼がいくときに発生するマージンの部分をカットすることができますよね。

また、普通の退去立会会社の場合、実際の施工の部分に詳しくないところも多いので、いざ施工業者に依頼したときに「これじゃ直んないよ」と言われてしまうことも少なくないのが実情なのですが、弊社ならばそんなことにはならず、スムーズに作業が進められます。

先述のマージンの部分を省けるということにニーズがあるでしょうから、私は今後この「退去立会代行×施工」というスタイルがトレンドになっていくのではないかと見ています。

–そうした一括で発注してくれるお客様はどのくらいいるのですか?

中村 現状は2社ですね。1社は先ほど申し上げた会社さん。もう1社は先日、建設業界向上委員会(クラフトバンク主催の建設業関連の会社が集まる交流会)で出会った会社さんで、同じ退去立会代行をやっている会社さんです。

「ちょっと手が足りていないので、一緒にやりませんか?」とお声がけいただきました。また、つい先日3社目として大手の会社さんからお話があり、契約させていただいたばかりです。

–H&Mホームズが現場で大切にしていることとは?

中村 ハウスクリーニングで1日に手がける施工数は1件に限定してほしいということを、義兄や外注の職人さんに伝えています。仕事的には2件こなすこともできなくはないのですが、絶対にクオリティが落ちてしまうと思っているので、そうならないためにですね。

–なぜそうしようと思ったのですか?

中村 「信頼」を大切にしたいからです。仕事上でクレームを発生させることが多い人もいますけど、それがまったく理解できなくて。

私もクレームになってしまったことはありますが、同じことを2度と言われないように時間をかけてでも、クレームを出さないようにしてきました。その結果、弊社を長年使い続けてくれているお客様がいます。

ハウスクリーニングは人を感動させられる

仕事の楽しさを語るハウスクリーニングの株式会社H&Mホームズ代表・中村正純さん

–ハウスクリーニングの楽しさとは?

中村 ハウスクリーニングってゴールや正解はないんですけど、良い仕上がりかどうかって、その家に入った瞬間にわかるんですね。

玄関を開けたときに「おおっ!」と言わせることを目標に私は仕事してきました。経験から言えることは、人を感動させることができるということです。

あと、今まで何時間もかけて落としていた汚れを、薬品の使い方を勉強したりすることで、サッと落とせるようになるのは楽しいですね。

–落とせない汚れはあるのですか?

中村 経年変化や焼き付いてしまったものは無理ですが、汚れであれば落とせないものはないと思っています。

–H&Mホームズさんのこれからの目標は?

中村 「暖簾分け屋さん」になるとでも言うんですかね。職人はぜひ人を入れたいと考えています。

弊社に入って知識も技術もどんどん吸収してもらって、独立していってほしいと思っているところですね。素人でまったく構いません。

私も素人から始めましたから。手に職付けて、独立しようという人間であれば、手助けはできます。退去立会代行業務も仕事が増えてきているので、任せられる人はほしいです。

[企業情報]

社名/株式会社H&Mホームズ

https://sustina.me/company/312

本社所在地/東京都葛飾区東水元3-3-4

対応可能職種/内装一式工事(材工), クリーニング(工事のみ)

対応可能エリア/一都3県(東京・埼玉・神奈川・千葉)