解体工事会社の仕事!「現場ごとにゼロベースで考え、解体していく。それが面白い」

解体工事の仕事の面白さ、働いてみて大変だったことなどの「リアル」に迫ります。話を聞いた会社は、株式会社佐藤組の代表取締役・佐藤政義さん。果たして、解体工事の奥深さとは?

解体工事の奥深さや魅力、工事に携わっている人が何を考えているかを知るには、それを専業としている会社に話を聞くのが一番早い。そこで、東京・立川で解体工事を営む株式会社佐藤組の代表取締役・佐藤政義さんをインタビューしました。

–株式会社佐藤組さんでは、どのような工事を行なっていますか?

メインとなっている仕事は、解体工事です。それと併せて産業廃棄物運搬、廃コンクリート塊や廃木材を破砕・加工するリサイクル業、地盤改良工事も行っています。毎回全てがセットということではありませんが、弊社では解体から次の工事の前段階までをワンストップで任せていただくことができます。

–解体工事はどのような手順で行われていくのですか?

まずは養生したり、防音パネルを貼ったりなど、周辺環境に迷惑を及ぼさないための作業から入ります。そこからは施工対象によって様々です。マンションであれば、内装の解体から入りますし、一軒家などの場合は屋根から入るなど、ケースバイケースになってきます。

なぜかと言うと、解体工事によって生まれる廃棄物は、分別が行われていない混合のものだと、処理するための費用が高いからです。もちろんその場合の自然環境への負荷も高くなります。ですから、一般の家庭ゴミと同じように分別するのが基本です。従って、そこを見越した工程を組んで解体していかなければなりません。

–闇雲に壊していくのではなく、しっかりと練られた計画の上で進行していくのですね。そういう工程を考えるのは、施工管理のタスクになると

そうですね。職人と相談しながら。ゼネコンさんから受けた仕事の場合、まずそういった手順書、計画書を施工管理が用意して、それを彼らの上層部に承認してもらえないと、工事には取りかかれませんから。

解体工事会社社長の佐藤さん

–現場では怪我を伴う可能性もあるでしょうから、そうした部分も視野に入れた計画になるということですよね

当然、そうなります。工事に入ってからも、施工管理は現場でボーっと眺めているだけじゃ務まりませんから、やはり「よく見る」ことで、どこに危険な可能性があるか、などの判断をしなければなりません。そういう箇所がありそうなとき、逐次職人さんに注意喚起を促します。

まだ騒音は避けようがない。だから人間力が必要

–解体工事にあたって、佐藤さんが職人の方々に大事にさせていることを教えてください

私どもが取り組んでいる解体に限らずどこの業者さんでも、近年は現場の近隣住民の方々との関係が悪くなると、仕事がやりづらくなるので、トラブルにならないように配慮させるというのはもちろん、気遣い、挨拶は徹底させています。例えば、新しく家を建てるための工事が始まる場合、解体工事はどの業者さんよりも先に入ることになるので、そこで揉めたりすると、私たちの後に続く業者さんにもやりづらい環境を残してしまうことになるわけですから、疎かにはできません。

–その近隣の方々にとってみれば、解体中はやはり「騒音」が出てしまうのですね?

そうですね。昔と比べれば工法も重機の性能も進歩して、だいぶ静かに作業できるようにはなりました。しかし、どうしても発生してしまうものです。いくらハード面が進化しても、それを扱う人間、ソフトの方がダメだと近隣の方々に受け入れられないこともあります。ですから、工事にあたってはまず近隣の方々に対しての挨拶を徹底させているわけです。

–あらかじめ良いコミュニケーションを取っておくことで、同じ「10」の音が出ても、受け手の感じ方が違うというような?

仰る通りです。たまに、全くそういった気配りがないという会社さんの事例を聞いたりしますが、それは考えられないことですね。

解体重機に取り付けるアタッチメント

–例えば、職人さんの技術によって音を小さくできたりもするのですか?

正直なところ、音に関して、技術による差はほとんどないですね。ただ、振動の伝わり方は大きく違います。解体工事で使う重機の先には、ハサミのような形状をしたアタッチメントが取り付けられているのですが、乱暴にやるならそのハサミで掴んで、ギシギシ揺らして壊すこともできます。

ただし、それではどうしても振動が大きくなってしまう。あまり伝わらないようにするなら、そのハサミの部分でいちいち噛み砕くように潰して、壊していく必要があります。私たちが行なっているのはもちろん後者です。そこにはやはり、人間の技術が求められてきます。職人の優劣もそういうところに現れますね。

–では、佐藤さん個人のことをお聞きしますが、どのような経緯で、建設業の仕事に入ってこられたのでしょうか

私は元々、4年制大学の法学部を卒業してから、広告代理店や流通系のハウスエージェンシー(※)で勤めました。広告関係の会社には、トータルで11年ぐらい働いていたことになります。ですが、結婚した妻が佐藤家の長女で、下には妹だけだったので跡取りもおらず、「ゆくゆくは二代目に」という形でこの会社に入社したんです。

※特定の広告主やグループ企業のために設立された広告会社

–それはご自身のキャリアにおいて大きな決断だったかと想像します

はっきり言って、元々今の自分の姿を将来像として持っていたわけではありません。ただ、ちょうどその時期は、バブルが崩壊したころだったので、広告業界に対して先行きを案じていたのも事実です。それでも当初は広告関連の仕事で転職活動をしていたわけですが、なかなか上手くいかなかったんですね。

そうこうしていたら、「実家の家業(佐藤組)の方が大変だから少し手伝って」という話になり、気がついたら今に至ったという感じです。まさか、こんなに長く勤めることになるとは思っても見ませんでしたよ(笑)。

解体工事会社社長の佐藤さん

–そうなると入職された時期は30代前半ぐらいだったかと思いますが、職人としての見習い期間はあったのですか?

私がこの職場に入るにあたって、現場の仕事を求められていたわけではないんです。従って、職人さんから技術を学んでいくということは、ほとんどしてきていません。営業や事務、経理関連の業務を任せたいと期待をかけてもらっていました。これは建設業界全体がそうだったとも言えますが、当時は特に、PC環境やIT化といった部分がで遅れていたので、社内でその導入・準備などにも携わりました。

広告業界から飛び込み、独学で仕事を学んだ

–では、佐藤さんが現場に出るということはほとんどなかった?

“現場で解体作業をする”ということはほとんどなかったですが、施工管理という立場では、毎日のようにいろんなところを回っていた時期もあります。

–施工管理としてのノウハウは、もちろんお持ちではなかったわけですよね?

そうです(笑)。なのでひとまず、勉強して2級土木施工管理技士の資格を取得し、2年後には1級を取れていたかと思います。当時は人手も足りていない状況だったので、教えを乞うこともできず、基本的には実務の部分も独学で学んでいきました。出来る出来ないは関係なく、「会社からは行ってきてくれ」と言われるので、そうならざるを得ませんでしたからね(笑)。

–座学で得られる知識と現場で学ぶ内容には違いもあったでしょうし、大変さが想像できます。

職人さんと交流を深めていくことも、現場の実態を知ることも、その先で会社を動かしていくことを考えれば、とても大切な勉強でした。ど素人として入ったので、嫌が応でも見て覚えなければいけなかったということもありますけど、何よりも、現場で職人がやっている仕事に興味があったし、実際に見ること、話しを聞くことが私はすごく好きだったんです。

–だからこそ、長く続けてこられたという部分もあるのかもしれませんね

それはありますね。私は「見る」ということがとても大事だと考えていて、佐藤組に営業職として入ってきた社員にも現場に行って見学させます。お客様と会話するにしても、バックグラウンドとして知識の蓄積がなければ、薄っぺらい話しかできませんから。従業員には「現場をよく見ろ」とは言い聞かせていますよ。

「職人の技術というのは本当に素晴らしいものです」(佐藤)

–解体工事の魅力とはどういうところでしょう?

やはり、達成感でしょう。「この建物どうやって壊そうかな」と考えていたところからいざ工事に入って、次第に建物の面影がなくなっていく。視覚的にもはっきりわかることなので、気持ち良いですよ。やはり、難しい施工が必要な案件の方が、その分、得られる達成感も大きいです。

解体工事現場の写真
写真提供/株式会社佐藤組

–何かその具体例を教えてください

例えば、去年携わった四谷(東京)の3階建のRC(鉄筋)構造のビルの工事は、建物までの道がすごく狭くて、大きい重機が入らない現場でした。本来、その規模のビルであれば、大きい重機を使って解体していけば比較的簡単に終わる工事なんですけれど、小さい重機で臨まなければならないとなると、「さてどうしようか」と考えるわけです。

当然、小さい重機は届く距離が限られています。このケースでは3階までは届きません。ですから、その時は手前から徐々に壊していって、その瓦礫で重機が登っていくスロープを作って、届かない場所も届くようにして解体していきました。

解体工事現場
写真提供/株式会社佐藤組

–壊しながらつくり、さらに壊していくのですね。それは非常に面白い

これは一例にすぎませんけど、職人の技術というのは本当に素晴らしいものです。赤坂(東京)にあった『鹿島建設』の旧本社や『赤坂プリンスホテル』の解体工事などはその最たるものでしょう。私はどのような技術も、見れるのならこの目で見にいきたいと思っています。

解体だけでなく、全ての建設工事に共通することだと思いますが、工事において「1つの決まったやり方」でできてしまうことなんてあり得ないんです。同じ建物が存在しないので、その都度、ゼロベースで考えなければなりませんし、だからこそ面白いとも言えると思います。

–常に何か発見がありそうですね

だからこそ、難しい仕事が目前にあるとき、社員には「逃げるな」とよく言います。挑戦した方が自分のためにもなるし、それが上手くいったなら自信にもつながる。会社にとっても、仕事の幅が広がる良い機会にもなります。未知のことに対する不安はもちろんあるとは思いますけど、挑戦しないことには人間、成長しませんからね。

–では、一つの案件に対して、「こういうやり方でやる」というプラン、アイディア出しの部分は、職人さんにある程度の裁量を委ねているということでしょうか?

「全て」ではありませんが、完全に任させられそうなものは、そうしています。

–それは職人さん達もやり甲斐があるでしょうね

全ての仕事は、計画も含め、段取りさえできていれば、やれないことはないはずなんです。例えば新しい工法や技術が開発されたなら、それを取り入れていく必要もありますし、規制が強化されれば、それにも対応する準備も必要です。昔から言われていることですが、そうした変化に順応することも含め、やはり段取りは重要ですよね。

–とても勉強になります。本日は、お忙しいところありがとうございました

■企業データ

社名:株式会社佐藤組

創業:昭和27年4月 

本社所在地:〒190-0022 東京都立川市錦町2-7-15佐藤ビル1F

従業員数:10名

代表者:佐藤 政義(代表取締役)

事業内容:解体工事、斫(はつり)工事、地盤改良工事、産業廃棄物運搬・リサイクル

メンバーページ:株式会社佐藤組

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