見積書も書けなかった職人がイチかバチかで設立し、急成長を遂げた塗装会社

職人が後先考えずに独立起業した塗装会社

建設業界の社長たちは、よく「後先を考えずに独立した」という言葉を口にする。

しかし、株式会社まるよし塗装の水島良夫さんほど、後先を考えていなかった社長も珍しい。

塗装職人一筋でやってきたので、会社設立当社は経営のイロハはもちろん、見積書やハンコの押し方まで知らなかった。

そんなド素人感覚で、2017年に塗装会社を起業。案の定、独立初期は全く仕事がなく、営業先での名刺交換さえ断られていたが、なんとか2年間で経営を安定させることに成功した。

たった2年で、塗装職人はどのような経営者に成長したのか。 日野市(東京)にしっかりと根ざすことができた理由は?

建設業界で起業する難しさや、塗装職人の心構えについて、水島社長に聞いた。

塗装会社を設立後、工務店や不動産会社に門前払いされる

塗装会社として独立当初を回想する株式会社まるよし塗装代表・水島良夫さん
水島 良夫(みずしま・よしお) / 株式会社まるよし塗装 / シーリング工事(材工) | 防水工事(材工) | 塗装工事(材工)

–水島さんは、なぜ独立しましたか?

水島良夫(以下、水島) まるよし塗装を起業して約2年になりますが、その前は雇われの職人として17年間、塗装の仕事をしていました。職人一筋だったので、営業などもできず、お客さんを見たらこっちから逃げてしまうぐらいでした(笑)。

でも塗装の腕だけは誰にも負ける気がしないようになってくると、だんだん「給与安いな」と感じることが多くなってくるんですね。そこで「イチかバチかやってみるか!」と独立を決心して、まるよし塗装を立ち上げました。

–独立して個人事業主になったほうが、収入が良いだろうと?

水島 そうです。ただ、いざ独立してみたら、収入どころか仕事がない。半年ぐらい何も上手くいかず、パニックになっていました。塗装以外は何の知識もないし、営業もしたことないから誰のコネも知り合いもいないんです。

職人だから腕があればやっていけると一人で勘違いしてました。チラシまいておけば仕事もくるんだろうと。しかし、仕事が取れたとしても大工さんの仕事だったり、なかなか塗装の仕事は貰えませんでした。

工務店や不動産屋にお菓子を持って回ることもしましたが、誰も相手にしてくれませんでしたね。はじめての人とは仕事はできないと言われ、名刺も受け取ってもらえませんでした。

建設業界の交流会に参加後、経営が安定した

–どうやって苦しい時期を切り抜けましたか?

水島 建設業の交流会に参加したときの出会いが助けとなりました。知り合った人たちから仕事をいただいたりして、徐々に状況が好転していきました。

経営について何も知らなかった僕にいろんなノウハウを教えてくれる人もいて、すごく価値ある繋がりになりました。

見積書の書き方もわからないし、ハンコもどこに押すのかわからない、それくらいのレベルで独立したので非常に助かりましたね。

交流会で歓談する株式会社まるよし塗装の水島さん
交流会で歓談する水島さん

–まるよし塗装は今、どんな営業スタイルですか?

水島 基本は本社のある日野市を中心としたエリアが商圏ですが、遠い現場も好きなので請けることもあります。

一軒家などの住宅は常に現場に居て、お客さまとコミュニケーションを取れる状況を作るよう心がけています。常駐することで良い関係が産まれて、他の案件も全部うちに任せてくれるようになるといった信頼の連鎖が生まれることもあります。

営業担当と現場の人間が別だと、話が食い違ったりすることもあり、お客さんからの不信感にもつながりかねませんので、それをケアする意味合いもあります。

塗装職人の「お客様目線」と塗装指導員について

–ご自身で塗装職人として大切にしていることはありますか?

水島 自分が塗装の仕事をする上で重要視しているのは、お客さん目線で物事を考える力です。お客さまが自分を見てどのように思うかは、常に考えています。

今でも現場の後にお客さんに会うときは、綺麗なユニフォームに着替えてから行っています。営業ならワイシャツにネクタイを締めます。

–塗装職人としてのスキルは、どうやって磨いてきましたか?

水島 同じ現場にいる職人さんの技術を見て、見よう見まねで仕事を覚えてきました。自分は誰よりも早く終わらせるという気持ちでやっていました。

塗装職人の基本は忍耐です。やれる根性があるかないか、それで時間内に淡々と作業して、期日内に収められるかできないかです。

–水島さんは「訓練指導員(塗装指導員)」という資格を持っていますが、どんな資格ですか?

水島 訓練指導員(塗装指導員)は、働きながら資格を取得したい未経験の方や、働けなくなってしまった方が社会復帰できるように、塗装技術を指導する資格です。

各都道府県から交付される資格で、塗装技能士1級をもっていないと取れません。塗装指導員は、塗装分野の指導を行うことができる資格です。ちょっとした技術の証明証みたいなものですので、お客さまからのさまざまなご相談にも乗る際にも役立ちます。

苦しむ若手経営者の塗装会社を手助けしたい

今後の目標を語る塗装会社、株式会社まるよし塗装代表・水島良夫さん

–今後の目標はありますか?

水島 「何も知らないけど、とりあえずやってみよう」という勢いのある若手を手助けしたいと思っています。

かつての自分と同じように独立したてでパニックになっている塗装屋さんにアドバイスをできると良いですね。皆さんの手助けもあって、まるよし塗装も軌道に乗ることができましたから。

ぜひ、そんな若者に直接会って、どういう人物なのか、その力も見たい。力というのは、職人技術ではなくて人間力。社会人として身なりがちゃんと出来ているか、挨拶が自分から出来るかなど、社会人としての当たり前の部分が出来ているのかを見させてもらいます。

それでちゃんとした若者がいたら、自分が手を差し伸べてもらったように力になってあげたいと思っています。

[企業情報]

社名/株式会社まるよし塗装

https://sustina.me/company/653689

本社所在地/東京都日野市東豊田4-33-1

対応可能職種/シーリング工事(材工) | 防水工事(材工) | 塗装工事(材工)

対応可能エリア/全国