バンドマンの父が創業し、マジシャンの息子が引き継いだガラス工事会社

失敗できない緊張感を楽しむガラス工事職人

中里硝子工業株式会社の中里正紀さんは、ガラス工事歴20年になるベテラン。施工技術以外にマジックという珍しい能力を持ち合わせ、職人とマジシャンの二足の草鞋を履いている。

どちらの仕事も繊細な技術が求められ、失敗は許されないのが共通点。

傷つきやすく、取り扱いが危険なガラス工事は今でも緊張するそうだが、それを「乗り越えたときの達成感がたまらない」と、プレッシャーを楽むところはマジシャンならでは。

そんな職人として異色の経歴を持つ中里さんに、これまでのキャリアやガラス工事の心構えなどについて話を聞いた。

ガラス工事職人とマジシャンの二足の草鞋なワケ

中里正紀(なかざと・まさき) / 中里硝子工業株式会社 / ガラス工事、アルミサッシ取付け工事、メンテナンス・修理
中里正紀(なかざと・まさき) / 中里硝子工業株式会社 / ガラス工事、アルミサッシ取付け工事、メンテナンス・修理

–ガラス工事に携わるきっかけは何でしたか?

中里正紀(以下、中里) この中里硝子工業を立ち上げたのは父でして、私が一家の長男だったため、職人家業を継ぎました。私の弟2人も同じ仕事をしています。

–創業の経緯はご存知ですか?

中里 父は元々バンドマンだったのですが、祖父が亡くなった時に親戚から「フラフラしてないで、しっかり働け」と紹介されたのが硝子を加工する仕事だったそうです。そこで技術を学んだ父が、独立開業したのが中里硝子工業になります。

–中里さんはガラス工事一筋でやってきた?

中里 私は社会人になってすぐにこの仕事に就いた訳ではなく、最初は手品グッズを製造する会社で働きました。元々マジックが大好きなんです。そこでは様々な企業にノベルティグッズとして手品用品を採用してもらうため、各所でマジックの実演もしていました。

ただ、父と私の間でなんとなくですが「先々は頼むね」っていう共通の認識がありました。ですから、その仕事は5年で辞め、この会社に入って修行を重ねて跡を継ごうと決めたんです。

–キッパリとマジックに踏ん切りをつけられた?

中里 本当にマジックが好きなので、最初はガラスで怪我したりすると手がガサガサになってマジックに影響するんじゃないかとか、そんな心配もしてました(笑)。それでもこの会社に入ってからは、幸い先輩にも恵まれ、10年間はひたすら現場で仕事を覚えました。気付けばガラス工事に従事して20年です。

今ではガラス工事の仕事とマジックの講師の二足のわらじでやらせてもらえています。マジックの方はウチの会社が休みの日にサービス系の企業さんなどで、教える機会を与えてもらっています。その企業がお客さんとの「コミュニケーションツール」として活用するためのマジックです。

ガラス工事の心構えと達成感

ガラス工事の心構えと達成感について語る中里硝子工業の中里さん

–ガラスはデリケートな資材ですが、施工経験を積めば扱いに慣れる?

中里 私はいまだにすごく緊張しながら扱っています。むしろ、私よりも一般の人の方が気軽に触ろうとしますよ(笑)。大きいガラスだと1枚でもそれなりの金額になりますし、扱い方を誤れば怪我にもつながりますので、毎回「恐い」と思いながら、慎重に施工します。

–どういうときに緊張感が高まる?

中里 まれに大きなガラスを、職人が6人〜10人ぐらいで取り付けるような時があるんですけど、これがものすごい緊張感なんです。ガラスに自重がある分、全員でしっかり連携しながら慎重に行わなければなりません。

その中でサッシにはめ込む途中で、サッシが噛んでしまってガラスを動かせなくなる時があるんですね。無理をして動かそうとすると、ガラスの破損やサッシの損傷が起こりやすく、力みすぎて割れたりでもしたら、それが落ちてきて大惨事になりかねません。

だから、職人達がミリ単位で、絶妙な加減で調節しながらなんとかするんです。若い人はついつい力任せになりがちな状況ですけれども、そうじゃない。あれは経験で為せる職人技です。

緊張を乗り越えた時の達成感はたまりません。緊迫の場面だからこそ、プロとしての腕の見せどころでもあります。

–どこにガラス工事職人のやり甲斐を感じていますか?

中里 やはり「ありがとう」と感謝してもらえることでしょうか。お客さまと直接対面する場合に言っていただくことが多いです。

私は主に1都3県でお仕事をさせてもらっていますが、最近はメンテナンスやガラス交換の依頼が増えてきたおかげで、いろんな場所へ行かせてもらうことができて新鮮です。

それこそ時間がある時には、近くの観光名所に立ち寄ったりもできるので、仕事以外の面でも楽しませてもらっていますよ。

信頼の「中里硝子工業」の継続が目標

–御社が施工に自信を持っているポイントは?

中里 発注してもらえれば、「中里さんなら任せて安心」という感覚を提供できることです。事前準備や最後の掃除などは徹底して行います。

自分で言うのもなんですが、私がすごく心配性でして、施工計画はかなり前から考え始めるようにしているんです。施工後の引き渡しの際には、ガラスの破片が落ちていないか入念に確認し、ガムテープを使って掃除してから帰ります。

–ガラス工事で「譲れないこと」はなんですか?

中里 当たり前ですが、「怪我だけは絶対にしないように」と心がけています。たまに、ものすごく危険な環境での施工を求められることもありますけど、こちらから「それは無理です」とキッパリ断らせてもらいます。

極力、無理なお願いにも添えらるように努力してきましたが「安全に対する無理だけはしない」というのが揺るがない部分です。万が一が起きた時、誰も得しませんので。

–中里硝子工業のこれからのビジョンは?

中里 やはり、お客様や取引先の皆様に、先ほど申し上げた「任せて安心」と思ってもらい続けることに尽きます。そのために必要な仕事を、これからも継続していきたいです。

[企業情報]

社名/中里硝子工業株式会社

https://sustina.me/company/104855

本社所在地/東京都江戸川区東葛西6-37-7

自社請け可能工種/ガラス工事、アルミサッシ取付け工事、メンテナンス・修理

対応可能エリア/1都3県