「職人は技術を安売りすべきじゃない」クロス屋歴29年のプライド!

誇り高く仕事をするクロス職人

職人の世界を「一生勉強できるから面白い」と語るクロス職人の岡本俊一さんは、その歴29年のベテラン一人親方。

昨今、ネットなどで見かける「1人工2万5000円」などの募集に、クロス職人の技術が軽んじられていると嘆く。

「職人はみんな技術を持ってるんだから、自分を安売りするべきじゃないと思います。もっと高い単価を主張するべき」。

果たして、その言葉の意味するところとは? 岡本さんに話を聞いた。

サラリーマンを辞めて始めたクロス職人

岡本俊一(おかもと・しゅんいち) / インテリアCAN / クロス・表具工事(材工)
岡本俊一(おかもと・しゅんいち) / インテリアCAN / クロス・表具工事(材工)

–岡本さんのお仕事は?

岡本俊一(以下、岡本) クロスをメインに、床、窓、シート工事をやっています。以前は人を入れてやっていましたけど、現在は一人です。かれこれ独立23年目です。

–クロス職人になったきっかけは?

岡本 職人を始めたのは23歳か24歳でした。その前は横浜の方で最初は職人とはまったく関係ない営業のサラリーマンをしてたんです。ちょっと生意気ですけど、成績も結構優秀でトップセールスマンって言っても良かったぐらいだと思います。

でも、あるときから会社と方向性が合わなくなり、その仕事は辞めました。それで地元の成田(千葉県)に戻ってプラプラしてたときに親方と知り合って、最初は遊び半分のバイトからクロス屋を始めました。

–どうやって技術を身につけた?

岡本 親方は教えてくれる人ではなかったので、最初のころは分かんないことだらけで、まわりの職人さんに恥を忍んで聞いてました。そしたら本当に細かいところまで、教えてくれました。

僕が恵まれてたのか、職人にはもともとそういう人が多いのか。どうなんでしょうね?

独立してわかりましたが、ウチの親方は仕事を知らないだけでした。だから、聞いても教えてくれない。最初はやっぱり職人って見て覚えろっていう世界なんだなって思ってましたたけど、違ったみたいです(笑)。

–クロスに携わってからは職人一筋?

岡本 現場には今も立ってますよ。今日も仕事して来ましたしね(笑)。

これはニュアンスの問題ですが、一筋っていうのはちょっと違うかなと。もちろんずっと一生懸命仕事してきましたが、その分僕は一生懸命遊ぶんです。

みんな忙しくって遊べないって言いますけど、遊ぶ時間は作るもの。昔から、スノーボードとサーフィンは好きで続けています。そのためにも体力落ちないように、ジムに通ったりとかもしてます。

独立の経緯、未払い被害の経験と対策

–どのような経緯で独立まで至ったのでしょうか?

岡本 親方のところで5年間クロス職人として働いていたんですが、そこが仕事を畳んでしまうことになったんです。だからと言って新しく会社勤めしようとも思いませんでした。

その頃にはクロス職人としての技術は上がっていたので、自信はなかったけど「だったら自分でやろう」と思いました。

–独立から軌道に乗せるまで大変だった?

岡本 それは、大変でしたよ。半年くらいは本当に仕事がなかったけど、元勤め先の親方の知り合いから紹介してもらったりして、なんとか仕事が広がっていきました。でも、1年目で100万円の未払いの被害に遭ったりもしました。

そこからは安定している会社さんを選んで付き合うように意識していますね。

–取引先のどういうところを見るようになった?

岡本 簡単なことですけど、まず法人であるかどうか。法人であればそれ相応の責任を背負っているというところが多いので、そんなに悪どいことはしないだろうと。

そのあとは、一度お仕事をやってみてどうかです。仕事の内容とか仕切りが適当な会社は、やっぱりお金周りも適当だったりします。そこはお付き合いする中で、結構違いが出ます。

30年クロス職人一筋でいられるワケ

–30年近くクロス職人をしていて飽きることはない?

岡本 ただ、作業しているだけだったら飽きますよ。

僕は現場の中に自分でこだわりとか作って、仕事をするようにしています。例えば隣の部屋で凄く上手な職人さんが床を貼っていたりするなら「あいつよりは上手く貼ってやろう」とかでも良いと思います。

10件の現場があればその10件に同じものは一つもなくて、僕はその現場一つ一つにこだわりを持って追求していくことを、これからも続けていくんだろうなと思っています。

–クロス職人の楽しさは?

岡本 職人の仕事は自分なりに納めたなって感じてても、お客さんからなんかしら言われたら、やっぱり納まってないって評価になったりする。

その度に、そういう見方もあるんだなと勉強させられます。でも一生勉強できるっていいことですよね。職人の世界は自己満足の世界でもあるけど、結果主義なところもあるから面白い。

職人の単価の妥当性とは

職人はもっと高い単価を主張するべきと訴えるクロス職人の岡本俊一さん

–施工する物件ジャンルはどのようなところが多いですか?

岡本 現在は戸建住宅の現場が多いですね。今お付き合いのあるクライアントは、僕が高いことはわかった上で、クレームを絶対に出さないことを評価してくれて、リピートで依頼してくれています。

–単価についてもう少し詳しく

岡本 自分でははっきり分からないですけど、たぶん僕の単価は高いんですよ。そんな気がしてる。

ネットの職人募集を見てても、1人工20000円ぐらいで書いてあるけど、僕は20000円だと絶対に動かない。25000円でも安いと思っています。

安く請ければいくらでも仕事は取れるだろうけど、それは僕じゃなくても誰でも良いという仕事。

普段いただいている平米単価で計算すると、1日25000円では全然足らないぐらい稼いでいるので、採算が合わないんです。

生意気に聞こえるかもしれませんけど、僕が今お付き合いしてくれているクライアントさんは皆、高くても僕がいいと言ってくれます。僕は自分を評価してくれる人たちのために、プロの仕事をするだけです。

本来、職人はみんな技術を持ってるんだから、自分を安売りするべきじゃないと思います。職人はもっと高い単価を主張するべき。みんな損してますよ。

クロス屋さんを探している人たちは、一律に「1人工20000円」だと良い職人になかなか出会えないと思いますね。

プライベートの充実が仕事に好影響

–岡本さんの目標を教えてください

岡本 仕事を半分にしたいという夢は持っていますね(笑)。この業界で仕事していると忘れがちですが、やっぱりプライベートがあっての仕事だとは思っているので、そうできたらいいですよね。

半分は多少大袈裟ですど、プライベートの充実がないと仕事を一生懸命できないですよね。それはもう、若いときからずっと思ってます。生活のための仕事はしたくないですね。

[企業情報]

社名/インテリアCAN

https://sustina.me/company/650329

本社所在地/千葉県千葉市美浜区打瀬3-9パティオス22番街229

自社請け可能工種/クロス・表具工事(材工)

対応可能エリア/埼玉県 | 千葉県 | 東京都 | 神奈川県