安全靴、作業着でおなじみ「ミドリ安全」のネット通販を有力販路にした男

ミドリ安全のEC部門を立ち上げた人物に直撃

安全靴や作業着・ユニフォーム、マスクに手袋などの安全用品、作業用品を販売しているミドリ安全は、建設業界に働く者なら誰もが知る存在。安全靴やヘルメット、手袋、ウェアについては製造メーカーとしての一面もある。

いまでは同社において有力な販路になっているEC部門を立ち上げた取締役CIOの古谷武彦さんを直撃。

いわゆる副資材と呼ばれる商品分野において、同社が国内でも有数のシェアを誇る理由の一端や、ネット通販部門を一から作った苦労などについて話を聞いた。

ネット通販を任されミドリ安全に入社

古谷武彦(ふるや・たけひこ) / ミドリ安全株式会社 / 安全衛生に関連する用品・機材の製造販売
古谷武彦(ふるや・たけひこ) / ミドリ安全株式会社 / 安全衛生に関連する用品・機材の製造販売

–ミドリ安全で働くきっかけは?
 
古谷武彦(以下、古谷) 入社は17年前になりますが当時、弊社はインターネットについて明るい人材を募集していて、たまたまそれを見かけた私が応募したんです。

私はインターネット黎明期から『SONY』や『SoftBank』で関連の仕事をしてきましたので、その経験から迎え入れてもらうことができました。

その頃のミドリ安全は、ネット通販に対するノウハウなどはあまり持っていない会社でした。

–インターネットを企業が取り入れ出したころですね

古谷 ちょうど取引きしていた大手企業さんが、一斉にインターネットでユニフォームや関連用品などを注文できるようにしてほしいと要望して来はじめた時期だったんです。

むしろ「それが出来るところと取引きさせてもらいます」ぐらいの雰囲気だったらしいので、ECに明るい人材が急務だったようですね。

入社後にインターネット通販の部署「Eコマース推進部」(東京・小菅)を立ち上げました。

ネット通販部門立ち上げの苦労

–Eコマース推進部では、どのような業務が行われている?

古谷 弊社について「工事現場で使う用品を売っているところ」という認識の人が多いようですが、建設業界関連以外も含め、お仕事をされている方々を対象とした副資材のネット通販を展開しています。

弊社の運用するウェブサイトの製作から管理・運営、コンテンツの企画立案、製品に関するウェブプレスリリースの発信などもしていますね。商品の発送業務なども行なっています。

–立ち上げには困難も多かった?

古谷 紙のカタログなどは、弊社で昔から脈々とつくられてきたものがあったのですが、それはあくまで印刷上の情報です。インターネットで物を売るとなると、その基となる情報や写真がきちんと揃っていないといけません。

紙媒体で貯まっている情報をネットで使う場合、それをさらに噛み砕いて、ユーザーが理解しやすくしてあげないとデータにならない訳です。それらをいち早くデータベース化していく作業は大変でしたね。

また、データベースを作っていくだけではなく、その情報を維持・管理することにも苦労するんです。弊社は開発に力を入れていますので、日々新しい情報が飛んできます。さらには現物を借りて、ブツ撮りも発生します。

そうした商品情報を自社の販売サイトはもちろんですが、大手ショッピングサイトにも掲載しますから、やはり基となる情報はしっかり揃えないと始まりませんでした。

「BtoB」「BtoC」にも強いネット通販

ミドリ安全の強みを語る古谷武彦さん

–ミドリ安全の強みは?

古谷 世の中の小売は、大体がBtoBかBtoCのどちらかに専念して販売業務を行なっていますが、弊社は企業も個人も両方をお客様としていますので、市場の変化など、色んなことが見えてくるんです。それらの情報が見えるからこそ成果を出しやすいです。

建設業界には少ないですが、例えば別業界の法人のお客様の場合、かつては正規・非正規社員に関係なく、従業員が着るものや履くものを必要に応じて支給していたんですね。でも近年はそれが年に一回だけ支給して、あとは「必要になったら自分で買ってください」というようなところがものすごく増えています。

そんな時に、そこで働く方々は「じゃあどこで買うの?」という状況になるのですが、それならば弊社の方で買いやすくしてあげればいい。その企業で働く従業員であれば通常価格よりも割り引いた額で商品を提供することもできたりするようなサービスが見えてくるんです。

一般的にネット通販ってワンプライスなんですが、弊社はお客である企業様ごとにプライシングができます。どんなネットショップも、それは手間がかかることなのでやりたがらないんですけど、ウチは面倒なことを面倒だとは思わない会社なので、やれるんです。

–近年はファッション性にも注力している?

古谷 商品開発にはかなり力を入れています。開発センターが草加市(埼玉県)を設けて、新商品もたくさん出させてもらっています。各種ウェアはデザイナーを起用して、従来よりも洗練されたものを世に出せているのではないでしょうか。

とは言え、作るのは仕事で身に付ける作業用品ですから、機能性が最重要です。動きやすいとか、疲れにくいことをクリアした中で、ファッション性にもこだわりを持たせています。
 
弊社で販売する製品は、会社ごとの特注品のシェアが圧倒的に多いです。ユニフォームは実作業に合わせた動きやすいものを求められますし、会社名を刺繍・プリントしたものを求めるところがほとんどになります。

一つの企業から大掛かりなモデルチェンジの注文を受けたりした場合、デザインや機能性をアピールするプレゼンテーションのために、そのお客様向けの動画なども制作して、かなり大掛かりな提案をするようなこともあります。

顧客満足とネット通販の強化の追求

–今後の目標は?
 
古谷 当然ですが「お客様を大事にする」ことです。ネットの世界はお客様と直接お会いする機会ってほとんどないのですけれど、メールだったり電話だったり、そうした部分で絶対に失礼のないようにと思っています。

ウェブを介してのお客様との取引きというのは、今後も拡大していくと予想してますので、その時々の世の中の流れを捉えて、商品のアピールをできればと思っています。