設備工事会社の2代目社長が「自分の給料は自分で稼ぐ」と語った理由には職人に対する想いがあった

債務超過を払拭し、職人が稼げる設備工事会社へ変貌中!

父親から事業継承した頃は「債務超過」に陥った設備工事会社だった加賀設備(東京都西東京市)を、2代目社長の天池正人さんが蘇らせ、今では大手ゼネコンの一次下請けとして仕事を一式請け負っている。

「社員が40代前後になった時に、年収600万、700万くらいは稼がせたい」。

天池さんは、そのためにも社長自らの給料は自分で稼ぐという。また、同社では他の建設業者にはあまり見られない職人へのインセンティブ制度を設けるなど、稼がせたいという言葉に偽りはない。

そんな天池さんに、独自の経営手法やトラブルの対処法など、さまざまな質問をぶつけてみた。

父親から代を継いで2年で経営を安定させた

– 建設業界に入ったきっかけから教えてください

天池正人(以下、天池) 専門学校を卒業後、大手の会社で4年間修行をしてから、父親が経営していた会社に24歳の時に入社しました。

学生時代に親の仕事を手伝っていた時に建設業界に興味が湧いてきたんです。そこでもう一歩踏み込んで知りたいと思い、大手の会社に就職することにしました。

– 会社を継いだとき、経営面は順調でしたか?

天池 父親は仕事が来るのをただ待つだけの経営で、自分が代表になった時には債務超過に近い状態でしたね。それをなんとか2年で経営を安定させました。

当時は一人で営業や現場に出て・・・本当に大変でしたね。でも、一人でこなしていたからこそ、現場でのお金の動きが手に取るように分かりました。

まだ父が代表をしていた時に仕事をしすぎて支払いが多くなってしまい、父親に文句を言われたことがあるんです。

建設業界って支払いが先行することが多いですよね。でも父親には借金という感覚になるらしく、「お金が足りないじゃないか!」って言われたことがあります。「後から入ってくるから!」なんていう口論もしょっちゅうしていました(笑)。

– 経営以外にも不安だったことはありますか?

天池 外注の職人さんとうまく付き合っていけるか不安でした。「仕事=人」だと思っていますから、職人さんが自分と仕事をしたいと思ってくれるのか凄く不安でしたね。

– 取引先もそのまま引き継いだのですか?

天池 父親のときの業者さんは、ほとんど残っていませんね。父親の時と自分とでは、仕事のやり方を変えたんです。

父親の代では、設備会社から依頼を請けて図面を描いたりなど小さい仕事をしていました。自分の代になってからは、設備会社と肩を並べて仕事ができるように変えましたので、今ではゼネコンの一次下請け会社として一式全て請け負っています。

ミスをした時の対応は絶対に間違えてはいけない

天池正人(あまいけ・まさと) / 株式会社加賀設備 / 空気調和設備工事 | 給排水・給湯・衛生設備工事 | ガス配管設備工事(その他配管工事含む)
天池正人(あまいけ・まさと) / 株式会社加賀設備 / 空気調和設備工事 | 給排水・給湯・衛生設備工事 | ガス配管設備工事(その他配管工事含む)

– どうやって仕事を増やしていきましたか?

天池 やはり、人との繋がりですね。その繰り返しでお客様が増えていきました。

プライベートで付き合っているガス会社の営業さんがある日、お客様から「いい設備屋さんいないかな」と相談をされ、自分をそのお客様のところに連れていってくれたんです。

そこでウチが丁寧な仕事をすると、お客様は喜びますよね。すると営業さんは成功体験が嬉しいから、また他のお客様にも自分を紹介する。

例えば、こんな感じです。

– 仕事で大切にしていることは?

天池 仕事が順調にいっていても、もちろん人間だからミスもあります。でも、ミスをした時にどのようにフォローをするかというところが一番肝心です。

以前、仕事をした集合住宅で漏水事故が起きました。即日対応し、事無きを得ましたが、私は全所帯の確認が必要と判断しました。

その時は、10人の職人を連れて行き、半日で全所帯のチェックを終わらせたんです。

そうすると、ミスをしたのにありがたいことに「あの会社は凄い」と評価をしてくれる人もいました。

だから、ミスをした時の対応は絶対に間違えないこと。そこに気をつけると信頼関係を勝ち取れると思います。

社員の稼ぎの上前だけを取るような社長にはなりたくない

– 今も現場に出られるのでしょうか?

天池 現場監督として現場に出ることはあります。社内にいる時は図面描いたり打ち合わせをしたり、職人の手配や資材調達までしています。

最近は「現場に来るな」って言われます(笑)。

でも、それでいいんです。自分が現場監督をしない分、その仕事を職長ができるようになります。そうすると、自分は他の仕事ができるようになる。

職人の枠を広げる分、仕事を増やしていけば全体的な稼ぎも増えますからね。

– 経営者として大切にしていることは?

天池 小さい会社であればあるほど自分の給料は自分で稼ぐべきだと思うんです。社長だからといって、社員が稼いできた上前だけを取るということはしたくないですからね。

社員が40代前後になった時に、年収600万、700万くらいは稼がせたいんですよ。現場で働くって、本当に大変だということを自分がよく知っているからそうしてあげたいと思うんですよね。

– 経営のノウハウはどのように培っていきましたか?

天池 経営に関する本を読み漁りました。経営について勉強していると面白くなってきて、経営者が参加する「人手不足をどうするか」というテーマのセミナーにも参加したことがあります。

そのセミナーの参加者は、日本全国で活躍されている企業の方達ばかりで、すごく刺激をもらいました。早速セミナーで学んだことを経営に活かすと従業員や職人が増えましたし、売り上げも自ずとあがりましたよ。

– 働き方改革についてどのように考えていますか?

天池 小さい事ですが例えば電話ですね。携帯に電話は沢山かかってきますが、自分の仕事の時間配分を決めて、電話をとらずに後回しにすることがあります。

後で折り返した時に掛けてきた相手も「なんだっけ」って忘れているくらいの内容や、留守電に「メールを送っておきました」っていうような内容もある。

ちょっと知りたい程度の事に全て答える必要はないんじゃないかと思うんです。

世間では働き方改革をしろと言うけれど、誰もそのやり方は教えてくれないです。だから、自分でやり方を見出して実践するしかないと思っています。

自社の職人と外注の職人に差を付けない

– 現在採用について力は入れていますか?

天池 中途採用で入ってきても、今は会社のルールや知識を自分達が教えるほど手が回らないので悩んでいる最中です。

– 社員の方々のモチベーションを上げるためにしていることはありますか?

天池 今は自社の職人が3人いまして、その自社の職人に外注と同じだけの予算を与えるんです。現場でうまく予算を回せるようになれば、浮いたお金は全部自分のものになるという仕組みにしています(社員の固定費は引く)。

自社の職人と外注の職人に差を付けてしまうと、自社の職人が外注になりたいと思ってしまう。そうならないよう気をつけていますね。

– 仕事に対する天池さんの考えを教えてください

天池 ご飯を食べるために働いているって人がいるけど自分はそれでは嫌なんですよ。自分は仕事も遊びも全力です。遊ぶにはお金が必要だけど、下の人達を締め付けて得たお金で遊ぶなんてカッコ悪い。皆んなで一生懸命働いたお金で遊ぶから楽しめると思うし、仕事も面白いと思えます。

– 職人さんにこれだけは大事にさせているということはありますか?

天池 一番は安全第一です。万が一事故を起こしてしまったら、取引先にも、お客様にも迷惑がかかります。まずは怪我をしないことです。

自分が現場から帰る時には、必ず「安全にね」と声をかけるようにしています。声をかけるようにしたら、自然に擦り込まれて気を付けるようになりますからね。

全ての責任は請負ったトップの会社にある

– 今まで仕事をする上でトラブルはありましたか?

天池 未払いはありましたね。一つ前の仕事のお金を払わずに次の仕事を持ってきたりするような会社がありましたが、すぐに関係を絶ちました。

– 裁判などで回収をされたりするのでしょうか?

天池 まさに今一件対応しています。お金を回収したいんじゃなくて、そんな人が痛い目に遭わないのはおかしいと思っているから争っています。

ミスしたから払わない。お金をもらえないから払わない。そういう会社は発注する側にはなるべきではないですね。全ての責任は請負ったトップの会社にあるのですから。

20代〜40代の職人が常に23人ずついる会社にしておきたい

今後の目標を語る給排水、空調設備設計・施工の株式会社加賀設備代表・天池 正人さん

– 今後の加賀設備について教えてください

天池 今大手の会社に3代目となる息子が修行に出ています。その息子が2020年に戻ってきますので会社を継ぐと思いますよ。

– 息子さんが継がれたら退かれたりする予定はあるのですか?

天池 いずれ一線からは退いて、図面描いたりして裏方をやろうかなと思っています。会社の規模は自分の代では現状維持で進めますので、息子が継いだら好きにやってほしいですね。

– 息子さんが継がれるまでになにか変えておきたいことはありますか?

天池 若い職人を教育して、常に20代〜40代が2、3人ずついるような会社にしておきたいです。

企業情報

社名/株式会社加賀設備

https://sustina.me/company/900

本社所在地/東京都西東京市富士町4-33-10東伏見ヒルズ3階

対応可能職種/空気調和設備工事 | 給排水・給湯・衛生設備工事 | ガス配管設備工事(その他配管工事含む)

対応可能エリア/東京都全域, ほか近郊