独立する電気工事士の年収、準備、心構えとは?

「電気工事士は、独立に向いている」「電気工事士になるなら、ゆくゆくは独立開業を考えるべきだ」などの通説もありますが、それは「人によって」です。闇雲に独立開業するよりも、そのメリットやデメリットなどをしっかり理解しておいた方が良いのは言うまでもないと思います。以下に、見ていきましょう。決断に迷っている人は必読です。

1. 電気工事士の「会社勤め」と「一人親方」の違い

電気のイメージ

建設業界では、広くそうした会社勤めを辞めて、個人事業主として独立した人を「一人親方」と呼びます。「独立」というぐらいですから、それ以前は電気工事士として会社等に勤務していた人がほとんどでしょう。では、独立すると会社員時代と比べて何が違ってくるのかを見ていきます。

(1)工事以外にも、仕事を得るための営業活動が必要

電気工事士として独立すると、職人としての自分だけではいられません。今までの工事作業に加えて、仕事を得るための営業が必要です。工事の案件を受注しないことには、仕事をしたくても仕事ができません。

これは電気工事士に限らず、もともと営業職以外だった人が独立した場合に共通して立ちはだかる壁とも言えます。特に職人のようなストイックに一つのことに取り組んできた人が多い仕事の場合、営業活動が不慣れだったりするケースは多いです。特別に事前に準備していない限りは、職人として技術を積み上げてきたときと同様に、ゼロから実践の中で営業活動を覚えていくことになるでしょう。

営業は相手があってこそで、相手の状況や悩みごとなどもさまざまとなれば、接するときに求められる行動やコミュニケーションも千差万別と言っても過言ではないのです。一定の方法やルールに則った上で作業を行ってきたこれまでの電気工事士としての職人作業とは、進め方が大きく異なります。

営業には人とのコネクション(つながり)がものを言う、などという意見も聞かれますが、そのコネを使うのは自分自身です。ただ、連絡を待っていては何も始まりません。自分から積極的にアプローチすることが大切なのです。営業も基本的には人間関係と同じで、ギブアンドテイクの考え方。相手に有益な情報を与えたり、困っていることに対応してあげたり、相手にとって必要とされる存在になることができるようになれば、人脈ネットワークも拡大していくでしょう。

ただし、これも例に過ぎず、全く別のアプローチが効果的なお客様もいるはずです。何はともあれ、電気工事士として仕事を獲得できなければ、独立した意味がなくなってしまうので、営業活動は非常に重要だと言えます。

(2)協力会社・職人として仕事を受注する

会社勤務の電気工事士の場合、住宅、店舗、ビルなどの電気設備工事を会社ないしは、営業職の方などが受注してくれて、その案件に対して職人として工事に当れば、仕事としては勤まっていたと思います。大きな案件などで、同じ電気工事士の職人の人手が足りないときなどに、他社あるいは一人親方に協力を求めて、現場をこなすというやり方がほとんどだったでしょう。

独立して電気工事士の一人親方となった場合、(1)で述べた営業力がしっかりしている上で、人員を多く必要としないような案件でもない限り、事業主として案件単位で仕事を得ることは難しいと予想されます。前述のように、独立開業後は、他の電気工事会社から「人手が足りないときなどに、協力を求められる」対象に、自身がなるというような理解がわかりやすいと思います。

独立したからといって電気工事士として求められる仕事の内容に大きな違いはないでしょう。ただし、何らかの事情で仕事を発注してくれた会社の受注額が減少されてしまった場合、経費削減の対象として優先されてしまうことは十分にあり得る話です。また、仮に案件単位での仕事を受注する場合は、工事内容上で足りない職人数を手配せねばならず、営業活動は仕事を受けるためだけでなく、元請け会社探しにおいても必要となるのです。

(3)月の収入のレンジ(振れ幅)が広くなる

電気工事士として独立すると、収入の入り方が変わります。企業の中で電気工事士として働いていた場合、月によって多少の増減はあったとしても、おおよそ一定の金額が毎月収入として支払われてきたと思います。しかし、独立して一人親方となると、大雑把に言えば、電気工事士として仕事をこなした分だけ収入も増えますし、できなかったなら収入は減ってしまいます。

単価や件数に左右されるのです。また、取引先は多くの場合、「支払日」を設定していて、当月払いのところもあれば、翌々月払いなどもあり、電気工事士として働いた工事日から、支払いまでの間隔が異なることもあります。従って、収入が多い月ができたり、少ない月ができたりすることも考えられるのです。

もちろん、独立して電気工事士として仕事をしている限り、入ってくるお金もあれば、支出として出ていくお金もある訳で、まとまった金額が翌々月に確約されていたとしても、翌月の支払いに必要なお金は確保していなければなりません。支払日を念頭に入れずに仕事を受けていると、大変な事態に陥る可能性もなくはないので、独立後はしっかり確認しておくことは重要です。

(4)必要経費なども自ら準備しなければならない

独立後に(3)でも触れた「支出」として考えられるのが、電気工事の上で使用する資材や専用工具、ハイエースなどに代表されるような業務用車両などです。これらを基本的には自分自身で用意することになります。独立開業資金も必要でしょうし、資材などは電気工事を行うたびに使えば使うほどなくなっていくので、その都度補充が必要。

工具や機材、車などは故障すれば修理も発生します。このすべてを、その日までに支払われた資金の中でやりくりしなければいけません。当然ですが、独立してからはそれら支出を差し引いたものが、あなたの収入源となります。

(5)経理、事務手続き、その他、諸業務が発生します

独立し、個人事業主となる訳ですから、これまで所属していた会社が行ってくれていた諸々の手続き、工事関係の書類作成業務なども、自らに降りかかってきます。経理業務や公的機関に対する届出書類、税金への対応など、さまざまなものに自分自身で応対しなければなりません。

個別に見ると、業務量としてのウエイトは軽いかもしれませんが、独立後はそれらを電気工事士としての作業、営業活動とは別に取り組まなければいけないため、精神的な負荷となりやすいでしょう。

2. 電気工事士で独立した場合の収入、年収の変化

電気工事のイメージ

独立とは、個人事業主となることですから、個々人によって収入も年収も上下動します。単価の高い仕事を受ける、件数を多くこなすなど、電気工事士としての仕事のやり方次第で差が生じます。独立後の収入が高い人は、一人親方として仕事が軌道に乗っている人でしょう。

あまり上手くいっていない人だと、職人として会社勤めをしていた頃よりも年収が下がってしまうことも考えられます。つまり、独立は収入のレンジ(振れ幅)が会社員時代よりも広くなると思ってください。独立の上で仕事を軌道に乗せられるか、乗せられないかの違いに大きな影響を及ぼすのは、前述の通り営業力です。または、独立前の人脈なども大切となります。

これはあくまで一例ですが、独立した一人親方の場合「単価(日当) × 稼働日数」によって月収は決まります。日当が25,000円で1ヶ月間で25日仕事をしたとしたら、月収([ ]内は年収)は以下のようになります。

25,000円 × 25日 = 625,000円/月 [625,000円 × 12ヶ月 = 7,500,000円/年]

独立して一人親方となった電気工事士の平均年収は、前述の通りレンジも広く、400万円〜700万円と言われています。一定のキャリアを積んだ会社勤めの電気工事士の年収が300万円〜500万円とも言われていますので、収入アップも可能ですし、場合によっては独立前よりも下がる可能性もあることがわかります。

人間に与えられた体は1つですし、使える時間もMAXは24時間と平等です。それならば、電気工事士として独立して収入・年収を増やしたいと思ったとき、増やすべきは案件数や稼働日ではなく、日当の方でしょう。「日当25,000円 × 20日 = 500,000円/月」と「日当20,000円 × 25日 = 500,000円/月」は、月収は同じわけです。

後者の場合、その浮いた「5日間」に別の仕事を入れて、より多くの収入を望むこともできます。電気工事士としての技術力よりも営業力の高さが、そうした良い条件の仕事を受けられる機会を増やしてくれます。反対に、日当が15,000円程度の仕事の話しかもらえていないのであれば、それらを受けざるを得ません。

仮に労力が上述の日当の場合も同じだとするのであれば、労働力的にいずれが得でいずれが損なのかは一目瞭然。年収換算だと、少なくない格差ができていることでしょう。だからこそ電気工事士として独立するのであれば、やはり営業力次第とも言えるのです。

また、空調・エアコンの設置工事は、独立してから効率的に稼ぐことができる仕事と言われています。1台の設置あたりにかかる時間がさほど長くないので、できる人は1日で3〜4台分の工事をします。単価も労働時間の割には高く、10,000円〜15,000円なので、1日の収入が30,000〜60,000円ほどになるのです。

しかし工事の需要が高く、件数が多いのは夏場と限られます(他のシーズンも需要がない訳ではない)。また、1日複数件をこなすのは体力的に決して楽ではありません。つまり、それをこなすことができる身体能力、あるいは気力が必要です。加齢により、体力面に陰りが見え始めたときに、電気工事士として同じ作業力を担保できるか、という不安もつきまといます。だからこそ、独立後に電気工事士として収入を増やしていくには、長期的な視野も必要になるのです。

3. 独立に必要となる手続き

アンテナを施工する電気工事士

電気工事士として独立する場合、法律により各都道府県への電気工事業者の登録手続きが必須となります。都道府県ごとに、必要となる提出書類や手続きは異なりますので、独立を考えている人は、自身が開業しようとしている都道府県のホームページや窓口などでしっかり確認しましょう。

電気工事業の登録には、一定の要件が必要です。以下を満たした上で、各都道府県へ登録電気工事業者としての申請(有償)をします。

1. 第二種電気工事士の資格を取得し、免状の交付を受けてから電気工事士としての実務経験が3年以上

2. 上記実務経験を証明するための、勤務の記録にまつわる証明書(働いていた会社より発行されたもの)

4. 独立の準備、開業資金

電気工事士として独立するにあたって、開業資金は多いことに越したことはありません。工具や資材、業務用車両などを準備するにも、それなりに多額の資金が必要になるからです。特に電気工事士の仕事が軌道に乗るまでは、収入面も不確かですし、場合によっては支出の方が収入よりも多くなることも容易に考えられます。

そうしたときにものを言うのは独立のために準備してきた経済的な体力となります。また、営業力を身につけるスピードも早ければ早いほど、良いとも言えるでしょう。電気工事士の仕事で忙しくても、営業活動に割く時間を持てるだけの計画性も備えたいところです。また、独立した電気工事士の仕事の受け方に多いケースとしては、もともと働いていた会社から工事を受注する形でしょう。

そのためにはやはり、円満退社も必須となります。独立当初は経済規模も仕事の量もすべてにおいて未熟ではありますが、元いた会社から見ればライバルが増えることになるわけですから、そんな会社から電気工事士として仕事を発注してもらうということがどういう意味を持つのかを念頭に、独立への準備をしなければいけないのです。

5. 独立は、メリットなのかデメリットなのか?

電気のブレーカー

これは電気工事士として独立する場合に限った話ではありませんが、努力という大前提の上で、そこに営業力ないし、単価などを含む仕事の計画性などの頑張り次第で、独立の決断がプラスだったのか、マイナスだったのかが決まります。個人事業主なので、良いことも悪いことも、すべて自分に降りかかってくるのは言うまでもないことでしょう。

一言で説明するなら「大変なのは間違いない」ということです。電気工事士として中途半端な気持ちで独立を考えているようであれば、今一度考え直してみる時間を設けるのも正しい選択と言えます。ただし、営業活動を覚え、ある程度仕事を軌道に乗せられるなら、会社員とは違って、自分の働き方を自分の意思でだけ決めることができるということがメリットと感じる人もいるでしょう。

また仕事を増やすために、自分に足りない能力や資格(関連する工事にまつわるもの)などもはっきりと見えてくるはずです。話は重複してしまいますが、結局のところ自分自身の頑張りややる気次第で世界は変わります。独立するかしないのか、良く考え抜いた決断を期待しています。

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