職人ではなく「一人前の見習い」を輩出する新人養成学校

職人仕事の楽しさを教える「クラフツメンスクール」

建設業界に入ったばかりの新人を養成する『一般社団法人クラフツメンスクール』という学校がある。

代表理事を務める仲本純さんは自身ももともと職人で、本業は外構工事を請け負うガイズカンパニー株式会社の社長。「職人の仕事の楽しさを“しっかりと伝えたい”」とクラフツメンスクールを立ち上げた。

そこでは建設業の扉を開いた新入社員の研修や、スキルアップして新たな仕事に就きたいという既存スタッフに、座学と実務講座を受けさせて、現場に送り出せるレベルへ成長させている。

本来なら自社内で行うべき新人教育を引き受けるスクールをあえて作った意味とは?なぜ、楽しさ重視の教育を行うのか? 仲本さんに直接伺った。

建設業の若手不足は育成に原因

仲本純(なかもと・じゅん) / ガイズカンパニー株式会社 / サイディング工事 | 屋根工事 | 造園工事 | 板金工事 | シーリング工事
仲本純(なかもと・じゅん) / ガイズカンパニー株式会社 / サイディング工事 | 屋根工事 | 造園工事 | 板金工事 | シーリング工事

仲本さんは以前から建設業の社長たちと人材不足について語らうことはあったが、有効な手立てが出ないまま話も終わってしまってばかりだった。

「もう自分で動くしかないと思いました。若い人たちの建設業界のイメージ向上と、離職率を下げるためには、若手を『どう育てるか』が大事になると考え、学校の立ち上げを決意したんです」。

新人教育は本来、各企業が独自に行うものだが、仲本さんは建設業界ではそれが十分にできていないことに問題があると考えた。

「職人を雇う企業側はものすごく忙しく、新人に対して職人に必要な技術や知識、作業工程を教えられる時間はOJTしかない。

でも、いざ教えるとなると先輩職人たち生産性は下がるため、積極的に教えにくい心理が芽生えます。新入社員も聞きづらさや居づらさを感じるようになってしまいます。

その結果、会社が支払う人件費は生産性に見合ったものではなくなり、入った新人もやりがいを感じる前に辞めてしまう。やがて、会社も採用活動を断念するというケースが非常に多いんです」。

若手職人不足は、こうした負の連鎖が建設業界をおかしい方向に追いやってきた結果だ。

企業の職人育成コストを削減するシステム

クラフツメンスクールが育成で果たす役割について語る仲本純さん

クラフツメンスクールでは、さまざまな工種の技能講座が集中的に開催されていて「修了のあかつきには、一人前の見習いになれる」と言う。

『一人前の見習い』とは、現場での作業工程や道具・部位の名称も理解し、そこで求められる技術も“教わったことがある”という状態を指すのだそう。

新人を送り出す企業側としては、初任給に見合う程度の状態まで、クラフツメンスクールによって引き上げてもらうことができる。

つまりクラフツメンスクールが『この先は修練を重ねて技術を磨いていく状態』まで教育することで、雇用した企業の時間の負担と生産性の低下を防ぎ、尚且つ新人に職人の楽しさを経験させて、離職しないように務める役割を担うのだ。

職人技術は失敗の中にも学びあり

仲本さんがクラフツメンスクールでの指導で大切にしているのは「職人の仕事の楽しさを“しっかり伝える”」ことにある。

「ものづくりは楽しくないはずがないんです。それを趣味にしている人がたくさんいることもその証明ですね。僕らはここで生徒に『職人の仕事は楽しい』ということを第一に教えたいので、技術的なことで生徒を怒ったりすることはしません。これが指導方針です。

このスクールを始めてからわかりましたが、そもそも怒ると彼らは失敗を繰り返してしまうんです。緊張してしまうからかもしれませんね。職人として働き始めると、厳しいことにも直面しますが仕事の厳しさは、自立してから『勝手に学んでくれ』というスタンスです」。

クラフツメンスクールの方針として「実技の中での失敗は、本人が失敗したことに気がつくまでは絶対に作業をやめさせない」。

失敗も知識として吸収させることで、習熟度を高める効果があるという。

大工工事の講座を見学

クラフツメンスクールの大工養成講座の様子

取材した大工講座にはベトナム出身の生徒たちが多く参加していた。全受講生7名中、5名はベトナム出身の20歳そこそこの若者。日本人2名は元々建設企業で配送の任に就いていたが、大工工事の仕事を覚えたいという希望により参加したのだった。

座学ではベトナム出身の生徒たちのため、同郷の日本語通訳が、講師の話す内容を彼らの母国語で伝えていた。実務講座では実際に住宅の制作に取り掛かる。すでに受講生たちの中にはこの時やるべきことがインプットされているようで、建て方はみるみるうちに進行していく。

実務指導をしていた現役の大工は、外国人をはじめ実習生の優秀さに太鼓判を押す。

「特に外国人の優秀さ、真面目さに驚かされましたね。彼らは教えてもらうことに貪欲です。理解度も高く、こうやって私たちが指示をしないでも、実務作業が進行していく訳です。なんでもどんどん覚えていってしまうので、この先教えてあげることがなくなってしまいそう(笑)。結構忘れがちな細かい工程も、しっかり覚えて実践してくれていますよ」。

ベトナム人実習生にも話を聞いてみた。

「私は大工の技術を学ぶためと、仕事でお金を稼ぐためにここに来ることになりました。母国で少しだけ、大工の仕事をしたことがあったので興味があったから、この職種を選んだのです。授業はとても楽しいです。実務練習もそうですし、皆んなと一緒に車で移動したり、たわいのない時間もエンジョイしています。将来はベトナムでもこの経験を生かしたいです」。

受講者の姿を見る限り、仲本さんが語っていた「ものづくりが楽しさ」はしっかりと伝わっているようだった。

[企業情報]

社名/ガイズカンパニー株式会社

https://sustina.me/company/1455

本社所在地/神奈川県横浜市港北区新横浜3-8-11 メットライフ新横浜ビル8F

自社請け可能工種/サイディング工事 | 屋根工事 | 造園工事 | 板金工事 | シーリング工事

対応可能エリア/宮城県 | 東京都 | 神奈川県

 

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