【有技術者向け】日本で一番多く被災地の屋根にブルーシートを張った人物が教えるブルーシートの張り方

特定非営利活動法人災害救援レスキューアシスト(以下レスキューアシスト)代表理事・中島武志さんは熊本地震以降、災害地でのブルーシート張りを専門的に行っている人物。大阪北部地震では1年4カ月、1,300件ほど屋根のブルーシート張りを行ったという。本記事では、自団体を「日本で一番ブルーシート張りの数をこなしている」と自負する同氏に、レスキューアシストで行っている災害時のブルーシートの張り方を教わる。

講師/特定非営利活動法人災害救援レスキューアシスト代表理事 中島武志

※ 本記事は、特定非営利活動法人災害救援レスキューアシスト様が9月21日に実施した講習会「安全に長持ちするブルーシートの張り方」とそこで配布された資料を基に、同団体の許可を得た上、その内容をサスティナで編集して作成しています。

特定非営利活動法人災害救援レスキューアシストHP
https://rescue-assist.net/

はじめに

※ 写真は特定非営利活動法人災害救援レスキューアシストがブルーシートを張ったものではありません(イメージ)

サスティナ並びにユニオンテックからのお願い

屋根の上でのブルーシート張りは、素人が簡単にできる作業ではありません。本記事は、被災地などで屋根のブルーシート張りにあたる、またはその意思を持っている建設業者などに読んでもらうことを前提に発信しています。お仕事等での作業経験のない方は、現地でブルーシート張りを行っている団体やボランティアに依頼してください。

素人の方は、決して自らで行わないようにしてください、危険です。

中島武志さんからのメッセージ

私がブルーシート張りを始めたのは熊本地震からです。当初、ブルーシート張りは危ないからやっていませんでした。しかし、災害に遭われた方が、行政に連絡しても相手にされないボランティアセンターに連絡しても受けついでくれない近所に頼める方もいないので、泣きながら連絡してくるんです。「助けてほしい」と。

私も当初はこう説明していました「ブルーシート張りは怪我をする可能性もあり危ないのでできません」。でも次の日も「助けてほしい」と連絡がくるんです。そこで初めて腹をくくり、1年間、熊本でブルーシート張りを続けてきました。沢山の失敗もしてきました。

今、私たちがやっているブルーシート張りは、正直なところ正解が出ていない状態。これを生業としている業者さんもいないし、専門にやっている人もいない。ただ日本で一番数をこなしているのは、私の団体周りの人たちです。熊本で2年張り続けました。大阪北部地震では1年4カ月、1,300件ほど屋根のブルーシート張らさせていただきました。その中で行っているブルーシートの張り方を紹介します

(※ 9月21日の講習会での中島さんの談話より抜粋)

ブルーシートを張る目的とは?

台風・地震などで、瓦が飛んだり、雨漏りが起きると家財が濡れてしまいます。そこで、本格的な屋根修復業者が来るまでの繋ぎ役としてブルーシートを張ります。ここでは本修理は行いません。あくまで応急処置のブルーシート張りです。ボランティアが、地元屋根施工業者から仕事を奪ったと言われることにも配慮しています。

知っておいてほしい!台風被害は火災保険が使える

台風で被災した場合、まずは保険屋さんに相談しましょう。地震保険は入っていなければ使えませんが、台風の場合は火災保険が使えます。地元の瓦屋さんに修理の依頼をしても、大規模災害の場合、1年〜2年待ちと言われてしまうこともあります。大阪北部地震の場合は、いまだに瓦屋さんが不足している状況です。

しかし、保険が使えるなら県外から屋根業者さんを呼びやすくなります。被害に遭われた方は、県外の業者さんを調べてみてください。『かわらぶき技能士』という国家資格があります。その資格をもっている業者さんに依頼すると良いでしょう。

ブルーシート張りの材料選び

応急措置に適切なブルーシートとは

ブルーシートには厚さがあり、屋根に張るブルーシートは「#3000番」以上の厚さが適していると考えています。可能であれば紫外線を遮断するUVシートであることが望ましいです。#3000番は3.6m×5.4mの重さ3kg。安さを優先してこれよりも薄い型番のものを選んでしまうと、早く劣化してしまう可能性が上がります。そうなった場合、張り替え作業を行わなければなりません。再度屋根に上がるということは、事故に遭うリスクも高くなるということを肝に命じてください。

応急措置に適切な土囊(どのう)袋とは

UV対応の国産で、砂か細かい石が入った土嚢(どのう)袋が最適だと思います。普通の土嚢袋を使うと1ヶ月持たずに破けてきます。袋の中身が土のものはお勧めしません。土には植物の種が入っている可能性があり、植物が袋を破くこともあるためです。経験上、日本製が一番長持ちします。2年たっても大丈夫でした。外国産は1年くらいで崩れてしまいましたので、なるべく日本製を選択してください。私の場合、袋の色は黒が一番長持ちしました。

応急措置に適切な紐(ロープ)とは

ビニールハウス、農業用などのマイカ線が適しています。さまざまなな紐で検証し、辿り着いたのがこの紐でした。ブルーシートの張り方は、ブルーシートのハトメに紐を引っ張って張る方法が、一般の方が考える一番簡単な方法だと思います。しかし、ヒモの種類を間違えると簡単に取れてしまったり、風に引っ張られる力でハトメ(布や紙などに空けた穴を、そこから破れないようリング状の金具で補強、フチ取られたもの)が簡単に取れてしまったりします。

ブルーシートの張替えが必要になる原因

ブルーシートの剥がれ

押さえや固定が不十分なことで、紐やロープが切れることによる。またブルーシートが風でバタつき騒音問題、近所迷惑に発展しかねない

ブルーシートの破れ

前述の素材選定を間違うと、紫外線による劣化や擦れにより、3カ月程度で破れることがある

土嚢袋の破れ

袋の中に瓦やブロックを入れたために、鋭い部分が破れの原因となってしまう。万が一落下した場合、通行人に怪我を負わせてしまう可能性もある。前述の砂や細かい石のものを入れること

【動画】土囊袋を使わないブルーシートの張り方

https://www.youtube.com/watch?v=Bvm1KHnp8S8

安全に屋根作業を行う方法

バディーロープ

上図のように1人が重りとなり1人が作業するやり方で、これは自衛隊さんにもお伝えしている方法です。同じ屋根の斜面側に、人が乗らないことが必須条件です。一番最初に屋根に上るときは、砂や濡れている瓦は滑りやすいので6点確保(手・膝・足)して上まであがります。足元は足袋靴が好ましいです。夏場は瓦の温度が上がり火傷する恐れがあるので太陽が上がる前に作業するのことが理想でしょう。

ロープを使った安全の確保については、画像やWEBを参照してください。

安全帯を使って安全確保

工事用の安全帯は足場があって効果があり、今回の作業には向いていない為、登山用の安全帯を使って作業を行っています。

これが肝!ブルーシートの押さえ方

大阪北部地震で1年、ブルーシートはどのように劣化するのか研究したところ、紫外線ではなく、風で煽られシワになったところから劣化することがわかりました。風が入らないようにすることで、劣化を遅くすることはできます。

安全第一

ハシゴは固定しないと危険

屋根の上から滑り落ちる事故よりも、ハシゴと脚立の方が事故率は高いです。工事現場でも死亡率ナンバー1は脚立に関連したものになります。また事故が起きたときに、助けが呼べない単独作業が一番危険と言えるでしょう。屋根での作業は、1人で上らないことが基本中の基本になります。

ヘルメットの着用

ヘルメットには消費期限があり、発砲スチロールが劣化する為、必ず確認してください。屋根の下で活動する人も同様です。

高所からの道具の落下

作業にはモノを落とすと人を怪我させてしまったり、何かを壊してしまった場合の弁償リスクがあります。幸い人には当たりませんでしたが、重い工具を落とし車のフロントガラスに落としてしまったことがありました。ボランティア保険で補償することで済ませることができましたが、気をつけていないと一大事となってしまうところでした。

熱射病/熱中症と滑りには細心の注意

屋根に1時間上ったら体を冷やすこと、そして水分補給を行うことです。屋根には土が残っている場合、ものすごく滑りやすいので気を付けています。また少しの水分でも屋根は滑る為、雨の日は作業をしない方が良いでしょう。

最新情報をチェックしよう!
>建設マッチングサービスSUSTINA(サスティナ)

建設マッチングサービスSUSTINA(サスティナ)

SUSTINA(サスティナ)は大工・内装工事・設備工事・足場・鉄筋・解体・土木をはじめ全国10,340社の建設会社が登録する業界最大数のマッチングサイトです。これまで人の紹介で繋がりを作ってきた建設業界の「新たな出会いの場」として、SUSTINA(サスティナ)は工事職人探しや工事の受発注をより簡単に、お客様の目的に合ったサービスをご提供します。

CTR IMG